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コーチ・インストラクターの確定申告|必要経費と所得控除で払い過ぎた税金を取り戻す
フィットネスのインストラクターやダンサー、スポーツのコーチなど、フリーランスとして活躍されている方も多いと思います。
フリーランスということは、個人事業主と扱いは同じです。
つまり、確定申告が必要になります。
確定申告、きちんとできているでしょうか?
「実は面倒で何もやっていない。」
「何となくやってはいるけど結構適当。。」
恐らく多くの方が同じような悩みがあると思います。
実際、確定申告面倒ですよね。
調べても難しい単語ばっかりですし。
しかし、適当な確定申告なままだと、本来より多くの税金を支払って損をしているかもしれません。
ということで今回のブログでは、コーチ・インストラクターの確定申告について、その仕組みやポイントについてお話していきます。
確定申告が必要なコーチ・インストラクター
自分で集客してお客さんから直接お金を貰っている場合は、確定申告が必要なのは明確です。
しかし、ジムやダンス教室などと契約して、その会社経由でお金を貰っているという方も多いと思います。
その場合、契約内容や貰うお金の形式によって、確定申告の必要性が変わってきます。
簡単にいうと、時給や月給として会社からお金を貰っている場合、「給与」という扱いになるので確定申告は必要ありません。
代わりに、その会社で年末調整を行います。
そうではなく、1レッスン〇〇円であったり、担当するお客さんの数での歩合などでお金を貰う場合、「報酬」という扱いになるので確定申告をする必要があります。
フリーのコーチ・インストラクターの多くは下の「報酬」に該当すると思いますので、確定申告が必要になります。
「報酬」の源泉徴収税率は10.21%
「報酬」は源泉徴収の対象となる場合があり、上記のようなコーチ・インストラクターの方に対する報酬も源泉徴収の対象となります。
支払調書などでみたことがあると思います。
報酬に対する源泉徴収の税率は、報酬の金額が100万円まで10.21%と非常に高い税率となっています。
「所得税10%ならそんなに高いわけじゃないんじゃない?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、源泉徴収は売上そのものに税率をかけて計算しているため、本来の税額よりも高額な場合がほとんどになります。
というように、源泉徴収されたまま確定申告をしないと、本来より多くの税金を払ったまま、ということになってしまうかもしれません。
確定申告で払い過ぎた税金を取り戻す
上記でお話したように、コーチ・インストラクターの方の多くが確定申告をすることで税金の還付を受けることができます。
めんどくさがらず絶対に確定申告をしましょう。
絶対に。
「白色申告」の場合、確定申告までに以下の書類を用意しましょう。
・確定申告書B
・収支内訳書
・(所得の内訳書)
・報酬の支払調書
・給与所得の源泉徴収票
上半分は税務署から無料配布、ダウンロードできる書類、下半分は給与や報酬の支払元から貰う書類です。
下半分の支払調書や源泉徴収票をもとに、確定申告書の収入金額に記入していきます。
そこから、仕事のために支出した経費を差し引き、下の所得欄に記入します。
フリーランスや個人事業主はこの経費がとても大切です。
大事なことなので2回いいました。
給与所得の欄の「区分」については、特定支出控除の適用がある場合に記入します。
ほとんどの方は何も書かなくて大丈夫です。
会社員と個人事業主の経費の考え方の違い
「経費」について何となくは分かるけど、詳しくどんな仕組みなのか説明できないという方もいらっしゃると思います。
これは当然といえば当然で、会社員の給与所得には経費という概念がありません。
ですので、独立して初めて経費というものを意識することになります。
会社員は経費のかわりに「給与所得控除」というものがあります。
というように、フリーで独立した場合、自分で経費を申告しないと所得金額が高くなってしまいます。
所得が高くなる=税金が高くなる、ということですので、必要経費を計上しないと、会社員時代と収入は同じでも税金は高いという事態になりかねません。
経費の計上も適当に済ませないように注意しましょう。
どんなものが経費になるの?
コーチ・インストラクターの方々の場合、どのようなものを経費として計上できるのかみていきましょう。
経費の判断基準の大原則は「事業に関連しているか」ということです。
詳細は以前のブログ「個人事業主の節税対策|経費かどうか判断するための3つのポイント」をご覧ください。
それでは、コーチ・インストラクターの経費の具体例をいくつかご紹介します。
・仕事用のウェア、シューズ
・移動にかかった交通費(Suicaなどにチャージしている場合は使用区間のメモ)
・移動に車を使用している場合はそのガソリン代(按分計算)
・技術向上や勉強のための書籍、DVD、舞台などのチケット代
・セミナーや研修のためにかかった費用
・レッスンで使用するBGM代
・ホームページ作成などの宣伝広告代
・トレーニングのためのジム費用(按分計算)
・仕事のために使用した電話代などの通信費(按分計算)
・取引先の接待や仕事の打ち合わせなどの飲食代等
・スタジオやレンタルルームなどの賃貸費、レンタル代
など
以上のようなものが必要経費として挙げられます。
()内の按分計算というのは、以下のようなものです。
あくまでも1つの方法ですが、携帯電話の通信費など、私用と事業用が兼用の支出については、事業用に使った分の費用を按分計算によって求める方法があります。
経費の領収書ってどうすればいいの?
経費として計上するためには、領収書やレシートが必要になります。
しかし、この領収書等は確定申告では提出する必要があるわけではありません。
その代わり、経費の証拠書類として保存しておく義務があります。
これは、売上の支払調書なども同様で、個人事業主の場合、書類によって最長で7年間の保存義務があります。
ですので、確定申告が終わっても捨てないように注意しましょう。
捨ててしまうと税務調査が入った場合に、追加で税金を支払うことになりかねません。
保存についての詳細は、以前のブログ「帳簿書類の保存期間は?違反すると3つの罰則が」をご覧ください。
経費=お金が無くなるということを忘れずに
フリーランスや個人事業主になると、経費を意識すると同時に、税金のことについても自然と考えるようになります。
所得税に始まり、住民税、事業税、さらに国民健康保険や国民年金まで、所得金額によって後々支払いが発生するものはたくさんあります。
せっかく自分の力で稼いだお金なのに、たくさんの税金を支払わなきゃいけない、というのは正直やるせません。
経営者や事業主の方なら誰でも、「節税」ということを考えることになります。
しかし、独立したての場合、とにかく何でもかんでも経費を増やすことで、税金を安くしようと考える方がいます。
ここで注意したいのが、経費が増えればそれだけ手元に残るお金は減るということです。
(例)は、同じ収入で経費の金額だけを変えて、所得税額と合計支出金額を計算したものです。(所得控除等は一切考慮していません。)
ご覧いただいて分かる通り、経費を増やしたほうが税金は10万円安くなりますが、結果的に支出した金額は40万円も高くなってしまいました。
というように、経費になるからと無駄なお金の使い方をしてしまうと、どんどんお金が無くなっていくということになります。
あくまでも、必要経費を確実に計上することが節税の第一歩だと心がけましょう。
青色申告で65万円の所得控除
青色申告という言葉自体、一度は耳にしたことがあると思います。
ザックリと説明すると、青色申告は細かく正確に事業の取引を記録するして確定申告すること、白色申告は簡単に(適当に)事業の取引を記録して確定申告することをいいます。
正確にやらなければいけないので、青色申告のほうが面倒です。
しかし、面倒な代わりに様々な税制的な特典を得ることができます。
その中でも、一番代表的なものは「青色申告特別控除」です。
控除額には、記録の正確さによって10万円と65万円の2種類があります。
というように、青色申告特別控除によって課税対象となる所得金額が下がります。
つまり税金が安くなります。
図の例でいうと、白色申告に比べて、最大で13万円も所得税の金額が安くなります。
青色申告には他にもたくさんの特典があり、白色申告のままでは非常に勿体ないです。
詳細は以前のブログ「65万円控除だけじゃない|個人事業主が白色申告から青色申告にすべき理由」をご覧ください。
所得控除の活用
上記までの話で、「給与所得控除」、「青色申告特別控除」という控除項目が出てきました。
この2つ以外にも所得控除の項目はたくさん存在します。
確定申告書でいう以下の部分です。
会社員の場合は年末調整の際に、会社から所得控除のための書類が渡されていました。
しかし、個人事業主の場合は、該当する所得控除を自分で計算して記入しなければいけません。
これも面倒なのは間違いないので、何も書かずに確定申告しているというコーチ・インストラクターの方も多いのではないでしょうか?
上記の必要経費の話と同じで、該当する所得控除を漏れなく受けることが節税のためには非常に大切です。
すぐにでも確定申告を終わらせてしまいたい気持ちは分かりますが、しっかりと調べて対応するようにしましょう。
また、所得控除の詳細についても以前のブログ「あなたはいくつ知っている?|確定申告に登場する14の所得控除」でまとめてあるのでご参照ください。
フリーランスとして活動していると、なかなか税金のことまで頭が回らなくなってしまうのはしかたのないことです。
しかし、適当に済ませればそれだけ多くの税金を支払うことになるのもまた事実です。
自分の力で稼いだ大事なお金だからこそ、しっかりと税金についても意識を高めておくように心がけましょう。
フリーランスということは、個人事業主と扱いは同じです。
つまり、確定申告が必要になります。
確定申告、きちんとできているでしょうか?
「実は面倒で何もやっていない。」
「何となくやってはいるけど結構適当。。」
恐らく多くの方が同じような悩みがあると思います。
実際、確定申告面倒ですよね。
調べても難しい単語ばっかりですし。
しかし、適当な確定申告なままだと、本来より多くの税金を支払って損をしているかもしれません。
ということで今回のブログでは、コーチ・インストラクターの確定申告について、その仕組みやポイントについてお話していきます。
- 確定申告で払い過ぎた税金を取り戻す
確定申告が必要なコーチ・インストラクター
自分で集客してお客さんから直接お金を貰っている場合は、確定申告が必要なのは明確です。
しかし、ジムやダンス教室などと契約して、その会社経由でお金を貰っているという方も多いと思います。
その場合、契約内容や貰うお金の形式によって、確定申告の必要性が変わってきます。
簡単にいうと、時給や月給として会社からお金を貰っている場合、「給与」という扱いになるので確定申告は必要ありません。
代わりに、その会社で年末調整を行います。
そうではなく、1レッスン〇〇円であったり、担当するお客さんの数での歩合などでお金を貰う場合、「報酬」という扱いになるので確定申告をする必要があります。
フリーのコーチ・インストラクターの多くは下の「報酬」に該当すると思いますので、確定申告が必要になります。
「報酬」の源泉徴収税率は10.21%
「報酬」は源泉徴収の対象となる場合があり、上記のようなコーチ・インストラクターの方に対する報酬も源泉徴収の対象となります。
支払調書などでみたことがあると思います。
報酬に対する源泉徴収の税率は、報酬の金額が100万円まで10.21%と非常に高い税率となっています。
「所得税10%ならそんなに高いわけじゃないんじゃない?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、源泉徴収は売上そのものに税率をかけて計算しているため、本来の税額よりも高額な場合がほとんどになります。
というように、源泉徴収されたまま確定申告をしないと、本来より多くの税金を払ったまま、ということになってしまうかもしれません。
確定申告で払い過ぎた税金を取り戻す
上記でお話したように、コーチ・インストラクターの方の多くが確定申告をすることで税金の還付を受けることができます。
めんどくさがらず絶対に確定申告をしましょう。
絶対に。
「白色申告」の場合、確定申告までに以下の書類を用意しましょう。
・確定申告書B
・収支内訳書
・(所得の内訳書)
・報酬の支払調書
・給与所得の源泉徴収票
上半分は税務署から無料配布、ダウンロードできる書類、下半分は給与や報酬の支払元から貰う書類です。
下半分の支払調書や源泉徴収票をもとに、確定申告書の収入金額に記入していきます。
そこから、仕事のために支出した経費を差し引き、下の所得欄に記入します。
フリーランスや個人事業主はこの経費がとても大切です。
大事なことなので2回いいました。
給与所得の欄の「区分」については、特定支出控除の適用がある場合に記入します。
ほとんどの方は何も書かなくて大丈夫です。
- コーチ・インストラクターの経費の話
会社員と個人事業主の経費の考え方の違い
「経費」について何となくは分かるけど、詳しくどんな仕組みなのか説明できないという方もいらっしゃると思います。
これは当然といえば当然で、会社員の給与所得には経費という概念がありません。
ですので、独立して初めて経費というものを意識することになります。
会社員は経費のかわりに「給与所得控除」というものがあります。
というように、フリーで独立した場合、自分で経費を申告しないと所得金額が高くなってしまいます。
所得が高くなる=税金が高くなる、ということですので、必要経費を計上しないと、会社員時代と収入は同じでも税金は高いという事態になりかねません。
経費の計上も適当に済ませないように注意しましょう。
どんなものが経費になるの?
コーチ・インストラクターの方々の場合、どのようなものを経費として計上できるのかみていきましょう。
経費の判断基準の大原則は「事業に関連しているか」ということです。
詳細は以前のブログ「個人事業主の節税対策|経費かどうか判断するための3つのポイント」をご覧ください。
それでは、コーチ・インストラクターの経費の具体例をいくつかご紹介します。
・仕事用のウェア、シューズ
・移動にかかった交通費(Suicaなどにチャージしている場合は使用区間のメモ)
・移動に車を使用している場合はそのガソリン代(按分計算)
・技術向上や勉強のための書籍、DVD、舞台などのチケット代
・セミナーや研修のためにかかった費用
・レッスンで使用するBGM代
・ホームページ作成などの宣伝広告代
・トレーニングのためのジム費用(按分計算)
・仕事のために使用した電話代などの通信費(按分計算)
・取引先の接待や仕事の打ち合わせなどの飲食代等
・スタジオやレンタルルームなどの賃貸費、レンタル代
など
以上のようなものが必要経費として挙げられます。
()内の按分計算というのは、以下のようなものです。
あくまでも1つの方法ですが、携帯電話の通信費など、私用と事業用が兼用の支出については、事業用に使った分の費用を按分計算によって求める方法があります。
経費の領収書ってどうすればいいの?
経費として計上するためには、領収書やレシートが必要になります。
しかし、この領収書等は確定申告では提出する必要があるわけではありません。
その代わり、経費の証拠書類として保存しておく義務があります。
これは、売上の支払調書なども同様で、個人事業主の場合、書類によって最長で7年間の保存義務があります。
ですので、確定申告が終わっても捨てないように注意しましょう。
捨ててしまうと税務調査が入った場合に、追加で税金を支払うことになりかねません。
保存についての詳細は、以前のブログ「帳簿書類の保存期間は?違反すると3つの罰則が」をご覧ください。
経費=お金が無くなるということを忘れずに
フリーランスや個人事業主になると、経費を意識すると同時に、税金のことについても自然と考えるようになります。
所得税に始まり、住民税、事業税、さらに国民健康保険や国民年金まで、所得金額によって後々支払いが発生するものはたくさんあります。
せっかく自分の力で稼いだお金なのに、たくさんの税金を支払わなきゃいけない、というのは正直やるせません。
経営者や事業主の方なら誰でも、「節税」ということを考えることになります。
しかし、独立したての場合、とにかく何でもかんでも経費を増やすことで、税金を安くしようと考える方がいます。
ここで注意したいのが、経費が増えればそれだけ手元に残るお金は減るということです。
(例)は、同じ収入で経費の金額だけを変えて、所得税額と合計支出金額を計算したものです。(所得控除等は一切考慮していません。)
ご覧いただいて分かる通り、経費を増やしたほうが税金は10万円安くなりますが、結果的に支出した金額は40万円も高くなってしまいました。
というように、経費になるからと無駄なお金の使い方をしてしまうと、どんどんお金が無くなっていくということになります。
あくまでも、必要経費を確実に計上することが節税の第一歩だと心がけましょう。
- 経費以外に税金を減らすために大事な2つのポイント
青色申告で65万円の所得控除
青色申告という言葉自体、一度は耳にしたことがあると思います。
ザックリと説明すると、青色申告は細かく正確に事業の取引を記録するして確定申告すること、白色申告は簡単に(適当に)事業の取引を記録して確定申告することをいいます。
正確にやらなければいけないので、青色申告のほうが面倒です。
しかし、面倒な代わりに様々な税制的な特典を得ることができます。
その中でも、一番代表的なものは「青色申告特別控除」です。
控除額には、記録の正確さによって10万円と65万円の2種類があります。
というように、青色申告特別控除によって課税対象となる所得金額が下がります。
つまり税金が安くなります。
図の例でいうと、白色申告に比べて、最大で13万円も所得税の金額が安くなります。
青色申告には他にもたくさんの特典があり、白色申告のままでは非常に勿体ないです。
詳細は以前のブログ「65万円控除だけじゃない|個人事業主が白色申告から青色申告にすべき理由」をご覧ください。
所得控除の活用
上記までの話で、「給与所得控除」、「青色申告特別控除」という控除項目が出てきました。
この2つ以外にも所得控除の項目はたくさん存在します。
確定申告書でいう以下の部分です。
会社員の場合は年末調整の際に、会社から所得控除のための書類が渡されていました。
しかし、個人事業主の場合は、該当する所得控除を自分で計算して記入しなければいけません。
これも面倒なのは間違いないので、何も書かずに確定申告しているというコーチ・インストラクターの方も多いのではないでしょうか?
上記の必要経費の話と同じで、該当する所得控除を漏れなく受けることが節税のためには非常に大切です。
すぐにでも確定申告を終わらせてしまいたい気持ちは分かりますが、しっかりと調べて対応するようにしましょう。
また、所得控除の詳細についても以前のブログ「あなたはいくつ知っている?|確定申告に登場する14の所得控除」でまとめてあるのでご参照ください。
- まとめ
フリーランスとして活動していると、なかなか税金のことまで頭が回らなくなってしまうのはしかたのないことです。
しかし、適当に済ませればそれだけ多くの税金を支払うことになるのもまた事実です。
自分の力で稼いだ大事なお金だからこそ、しっかりと税金についても意識を高めておくように心がけましょう。