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共同経営は諸刃の剣!?|共同経営のメリットデメリットと抑えておきたい3つのポイント
1人で起業したり、社長+スタッフというように何人かで起業したりということもあります。
その中でも、2人以上でそれぞれがほぼ同等の権限を持って起業する共同経営というものがあります。
技術のある人、経営のノウハウがある人、そしてお金がある人というように、それぞれ長所を持つ人達による共同経営はこの先ますます増えていくのではないかと予想されます。
しかし、この共同経営は大きな武器にもなれば、時に大きな障害となることもあるのです。
今回のブログでは、共同経営のメリットとデメリットについてお話していきたいと思います。
- 共同経営ってなに?
共同経営とは
共同経営とは、2人以上の人間がほとんど対等な立場で、事業の経営を行っていく形態をいいます。
これを読むと、なにも会社を設立して共同経営者になることだけが、共同経営ではありません。
共同経営自体にも様々な形態が存在します。
2人で行う共同経営の例には、以下のようなものがあります。
ⅰ: 2人共が出資をして会社を設立する。
ⅱ: 1人は出資だけして(オ-ナ-)、1人は業務だけする。
ⅲ: 1人が個人事業主となり、1人は雇われる形で経営に参加する。
これらの中で、最も大きなメリットとデメリットを孕んでいるのが、赤文字の共同経営の形態です。
今回のブログでは、2人が出資と経営を担う共同経営のケ-スについて詳しくお話していきます。
出資比率で変わる2人の立場
株式会社を立ち上げる場合、出資した金額によって出資者の立場や、経営の意思決定の仕方が大きく変わってきます。
株式会社設立のために出資をすると、その会社の株主となり、金額に応じて様々な権利が与えられます。
中小企業のほとんどは、社長自らが出資して会社を立ち上げるので、経営者=株主になっています。
では、上記ⅰのように、2人が出資をして株式会社を立ち上げた場合、その比率によってどのような変化が起こるのでしょうか?
① 2人が同額を出資する
同じ金額を出資した場合、2人は全てにおいて対等な立場となります。
一見すると対等でいいように思えますが、経営の意思決定の全ての部分で双方の合意が必要になるので、共同経営で最もトラブルが起こりやすい形態といえます。
② 1人が2/3以上出資する
1人が全体の2/3以上を出資した場合、その人に特別決議の決定権が与えられます。
特別決議とは、定款の変更や会社の解散など、会社にとって非常に重要な事柄を決めるための決議です。
資本金全体の2/3以上を出資した場合、この特別決議を単独で決定することができるので、実質的に会社の実権を握ることになります。
③ 1人が1/2以上(過半数)出資する
1人が全体の1/2以上を出資した場合、その人には普通決議の決定権が与えられます。
普通決議とは、役員の選任・解任、役員報酬の決定、剰余金の配当など、会社経営に必要な事柄を決まるための決議です。
資本金全体の1/2以上を出資した場合、この普通決議を単独で決定することができます。
しかし、上記の特別決議については、他の株主の同意を得る必要があります。
- 共同経営のメリット
より多くの資本金が獲得できる
共同経営者となるためには、必ずいくらか出資をしなければいけません。
当たり前のことではありますが、1人で用意する金額よりも多く資本金を得ることができます。
資本金は返済の必要のない、会社が自由に使うことができるお金です。
設備投資の費用や創業時の運転資金など、多いに越したことはありません。
2人のスキルで相互補完することができる
会社を経営していくためには様々なスキルが必要になります。
商品開発の技術があっても、営業のスキルがなければ売ることはできません。
異なるスキルを持つ2人が共同経営をすることによって、苦手な分野を補い合うことができます。
お互いが得意なことに集中することで、事業の効率を2倍にも3倍にも高めることができます。
経営の喜びや苦しみを共有できるパ-トナ-
経営者というのは孤独なものです。
1人で事業を営んでいればもちろんですが、従業員がいたとしても、経営者とは立場も考えも全く違います。
本当の意味で、同じ目線で会社のことを考えてくれる、話し合える相手というのは、共同経営でしか得ることはできません。
起業の不安も誰かと一緒なら
会社を経営するうえで、最初にして最大のタ-ニングポイントは「起業すること」です。
起業にはたくさんのリスクが伴います。
起業をお考えの人の中には、不安に負けて一歩踏み出すことができないという人もたくさんいらっしゃると思います。
誰かと一緒にやることで、漠然とした不安を少しでも解消することができるのなら、共同経営の大きなメリットといえるでしょう。
- 共同経営のデメリット
経営の意思決定が遅れてしまう
共同経営の場合、経営の全てのことにおいて話し合いが必要になります。
上記でお話した出資比率にもよりますが、全くの対等でなかったとしても、1人の意向で勝手に事業を行うというわけにはいきません。
仮に意見が対立した場合、それによって経営がストップする事態にもなりかねません。
役員報酬の金額で揉める
共同経営の場合、役員報酬の金額はそれぞれの事業への貢献度によって概ね決められていきます。
始める時にはお互いが納得して報酬の割合を決めていたかもしれません。
しかし、どんなに仲が良かったとしても、お金が絡むと揉めるのが人間です。
実際に仕事をすることで、相手の仕事ぶりに不満を持つこともあるでしょうし、儲けがたくさん出ればそれを一人占めしたいと思うこともあるかもしれません。
お金でのトラブルは、共同経営において切っても切れないものだと頭に置いておきましょう。
関係悪化がそのまま廃業に繋がりかねない
上記のことも含め、人間が2人一緒にいれば、様々な箇所で価値観の違いがでてきます。
最初は小さなことでも、積もり積もって修復不可能な関係になってしまうことだって十分に考えられます。
そこまでの状態になってしまっては、もう一緒に会社を経営していくことは難しいかもしれません。
しかし、お互いが会社にとって欠かせない役割を担っていた場合、会社自体を続けていくこともできなくなってしまうかもしれません。
というように、共同経営には、事業とは関係のないことで廃業に追い込まれてしまうリスクが付きまといます。
- 共同経営をするなら抑えておきたい3つのポイント
実際問題、共同経営は失敗してしまうケ-スのほうが多いのが現状です。
そんな、失敗のリスクを最小限に抑えるためのポイントをお話します。
事前にリ-ダ-を決める
まず、共同経営をしようと決めた段階でどちらがリ-ダ-なのか、誰がリ-ダ-なのか必ず決めましょう。
「船頭多くして船山に登る」
ということわざにもある通り、トップが複数いては組織運営はなりたちません。
会社を設立してからでは、最悪の場合裁判沙汰にもなりかねません。
事業を始める前に必ず、双方納得リ-ダ-を決定しましょう。
客観的な第三者の協力を得る
共同経営で会社を設立するのであれば、当事者だけではなく、他の第三者の誰かに会社に関わってもらうことをおススメします。
上記のデメリットの全ては、人間関係の悪化が原因です。
些細な意見の食い違いをきっかけに、一気に空中分裂ということも十分に考えられます。
当事者同士では話の折り合いがつかないという事態になってしまったら、信頼できる第三者に仲裁してもらいながら、話し合いを進めていくことも必要になってきます。
合同会社設立も考慮する
共同経営で揉める多くは、お金のことです。
事業開始前にリ-ダ-も決めて、報酬や配当の割合などもしっかり話し合っていたとしても、実際に始めてみないと上手くいくか分からないのが会社経営です。
株式会社の場合、最初の出資の金額によって、役員報酬の決定権や配当の割合など全て決まってしまいます。
しかし、合同会社であれば、報酬額や配当の割合など、定款に定めることで出資額に関係なく自由に決めることができます。
経営の意思決定は「社員」同士での話し合いで行うのが原則になりますが、株式会社に比べて公平で自由な会社経営が可能になります。
お互いの役割分担が明確で、対等な立場で共同経営したい場合には、合同会社設立も考慮しておきましょう。
- まとめ
タイトルの通り、共同経営はまさに諸刃の剣です。
共同経営のメリットを最大限生かすためにも、目先のことだけではなく、先のことまでしっかりと計画を立てて行うように注意しましょう。