ブログ
できる経営者は士業を使う|税理士だけじゃない、士業の種類と選ぶための3つのポイント
恐らく最初から依頼しようと思っている方は少数で、事業が落ち着いてからや規模がある程度大きくなってから依頼しようとお考えの方が多数ではないかと思います。
しかし、本当にそれでよいのでしょうか?
会社経営に必要なのは本業の力だけではありません。
会計や税金の申告、従業員を雇えば社会保険の手続きや就業規則の作成、他にもたくさんの事務作業が待っています。
恐らくそのほとんどは、会社員の時には目にすることの無かったものばかりです。
成功している経営者の人達は、これらのことを事業が落ち着くまで1人でこなしていたのでしょうか?
決してそんなことはありません。
事業をいち早く成長させるのには理由があります。
- できる経営者は士業を使う
創業から順調に業績を伸ばす会社、その経営者に共通することがあります。
それは、効率よく人を使うということです。
会社経営では様々な専門知識が必要な業務を求められることが多々あります。
できる経営者の方々は、そういった時にお金を払ってでも専門家に任せた方がお得と考えます。
できる経営者は自分の時間の価値を分かっている
今ご覧の経営者の皆様は自身の報酬を時給として考えたことがあるでしょうか?
時給1,000円でパ-トを雇った場合、1日あたり8時間1ヶ月あたり20日勤務したとして、年間192万円の経費がかかります。
では逆に、経営者の時給を計算してみましょう。
仮に、1年間で600万円儲けるとします。
勤務時間を上記の通り、1日あたり8時間1ヶ月あたり20日とすると、経営者の時給は3,125円となります。
年間1,200万円の儲けなら時給は6,250円です。
つまり、それだけ経営者の時間には価値があるということです。
「できる経営者」というのは、この経営者自身の時間の価値をしっかりと理解しています。
例えば、日々の会計業務について考えてみましょう。
会社の規模が小さいうちは、1日30分も会計業務に時間をあてれば、ご自身で決算や確定申告を行うことも可能です。
それなら時間を取って自分でやってしまった方がお得、と普通は思います。
しかし、上記のように経営者の時給を3,000円とすると、1日30分といえど月に3万円分もの時間を消費していることになります。
税理士の月額顧問料は5,000円~2万円ほどです。
本業以外の作業は専門家にお金を払ってでも依頼し、空いた時間でさらなる利益を生み出そうと考えるのが「できる経営者」です。
経営に不可欠な本業以外の仕事
まず、利益を生み出す仕事のことを本業、利益を生み出さない仕事のことを本業以外とします。
会社や事業を経営していくには、利益を生み出さない本業以外の仕事も必ずしなくてはいけません。
しかし、時間というのは有限です。
上記でもお話した通り、本業以外にかける時間を最小限にし、本業の時間を最大限にするのが「できる経営者」です。
本業の仕事というのは恐らくすぐにイメ-ジすることができると思いますが、本業以外の仕事にどういうものがあるのか、具体的に理解している方は少ないと思います。
ですので、本業以外の仕事の大まかなものについてご紹介していきます。
① 経理の仕事
まず、どんな規模の会社でも必要なのが経理の仕事です。
経理の仕事は日々の会計業務から税金の申告納税など多岐にわたります。
具体的な仕事は以下の通りです。
・日々の会計処理
・決算作業
・所得税、住民税の納付手続
・各種申告書の提出と納付
・法定調書の作成
・税務調査対応
経理の仕事は早くそして正確に作業することが求められます。
② 人事の仕事
従業員を1人でも雇う場合、人事の仕事というのも必要になります。
人事は従業員の給与や賞与の計算、保険の手続きなどが仕事になります。
具体的な仕事は以下の通りです。
・給与、賞与計算
・年末調整
・社会保険の手続き
・労働保険の手続き
・従業員の採用と退職
・労働時間と休日の設定、割増賃金の計算
・年次有給休暇、振替休日、代休の管理
・就業規則の作成
人事の仕事は従業員の個人情報を扱うことになります。
万が一にも情報が漏れないように細心の注意を払いましょう。
③ 総務の仕事
総務は法人としての会社全体の管理を行う仕事です。
具体的な仕事は以下の通りです。
・印鑑の管理
・書類の整理と保管
・収入印紙と切手の管理
・定款、登記事項証明書の管理
・マイナンバ-の管理
・株主総会、取締役会の開催
・内容証明の作成
総務の仕事こそ経営者ならではの事務作業といえます。
印鑑や収入印紙の管理など、本業にも関わってくることも多いのでしっかりと理解を深めておきましょう。
士業を使うことで+αの武器になる
士業に依頼することで本業以外の業務を代行するということ以外にも様々なメリットが得られます。
いくつかご紹介します。
① 本業に集中する時間が増える
まず、お話した通り本業以外の仕事に取られていた時間を確保することができます。
経営者にとって時間というのは非常に重要です。
確保した時間で商品・サ-ビスの質向上を図ったり、新規顧客の開拓を行ったり、ビラやホ-ムペ-ジなどの集客ツ-ルを作成したりと利益獲得のための様々な要素に時間を使うことができます。
② 正確で確実な仕事
士業というのはその道のプロです。
経営者にとっての本業以外も士業にしてみれば本業ですので、ご自身で行うよりも正確で間違いない仕事の成果を得ることができます。
この仕事の正確さというのは、実務面だけでなく経営者の精神面にもいい影響を与えます。
「もし間違っていたらどうしよう」という精神状態と、「プロに頼んでいるから安心」という精神状態ではどちらが健全な脳の働きを促進するか一目瞭然です。
士業に依頼することで、経営に対する不安も軽減することができます。
③ 有益な情報を得ることができる
士業に依頼することで、業務の代行以上のサ-ビスを得ることができます。
例えば、税理士であれば節税対策や財務諸表分析というような専門的な知識を受け取ることができます。
そして、士業の顧客はほとんどの場合が経営者です。
多くの経営者を支えてきた実績と経験というのも役に立つはずです。
④ 士業は他の専門家との繋がりが強い
士業という職業柄、多方面の専門家との人脈がある場合が多いです。
会社の経営に直接関わることではありませんが、時と場合に応じて士業の人脈を利用することは大きなメリットになります。
- 経営者に関わる士業の種類
それでは、会社を経営するにあたりどのような士業が関係してくるのでしょうか?
それぞれの士業と業務内容についてご紹介していきます。
税理士
税金のプロフェッショナル。
主な仕事として、税務の代理、税務書類の作成、税務相談、税務調査の対応、日々の記帳代行などがあげられます。
顧客は主に中小企業や個人事業主で、税務だけでなく経営や財産のことなど相談内容はお客様によって多岐にわたります。
恐らく、経営者にとって一番身近で関わりの深い士業です。
業界の特徴として、全国の税理士の平均年齢が約65歳と非常に高齢なことがあげられます。
理由としては、税務署OBは国家試験が免除されること、税理士には定年が無いことなどがあります。
司法書士
法務局での登記、裁判所や検察庁における手続きをサポ-トする専門家です。
「街の法律家」ともいわれ、成年後見人や相続の際の不動産の名義変更や死亡届の提出なども業務としてあげられます。
弁護士との違いは、法律でのトラブルを未然に防ぐのが司法書士、トラブルが起きた後に対処するのが弁護士という違いです。
経営者が関わるのは、会社設立時や資本金、役員の変更時などです。
税理士からの紹介というのが、司法書士と関わる一般的な流れといえます。
行政書士
官公庁への手続き、書類作成のスペシャリストです。
許認可等の申請書類の作成、提出手続きの代理、契約書の作成、外国人雇用、自動車登録など経営のポイントポイントで必要な書類関係の作成から申請の代理まで行います。
顧問契約という形では無く、その都度に報酬を支払うという形が一般的です。
経営者としては、飲食店や風俗店を開業する際に許認可でお世話になったというのが一番多いのではないでしょうか。
社会保険労務士
会社の成長に不可欠な存在である労働者関係のスペシャリスト。
社会保険、労働保険の手続き代行や給与計算、人事労務管理の相談指導などが主な仕事です。
従業員を雇う際の社会保険関係の手続きはもちろん、人材育成・採用から従業員とのトラブルの解決、助成金の申請などといった会社の成長に欠かせない存在であり、税理士と共に経営者の懐刀となる存在です。
弁護士
弁護士という職業自体は最も一般的な士業といえます。
では、会社にとっての顧問弁護士にはどのような役割があるのでしょうか?
会社を経営するにあたり、会社法、個人情報保護法、特定商取引法、独占禁止法、著作権法などといった数多くの法律による取り決めがあります。
会社の規模が拡大するにつれて、様々な法律に注意しなければいけません。
それらの法律に関するリスク管理、トラブルの解決を担うのが顧問弁護士です。
ドラマや映画では顧問弁護士というと、大企業や病院などが関わるイメ-ジですが、近年の弁護士数の増加によって弁護士サ-ビス自体の敷居が下がってきているので、中小企業でも顧問弁護士を雇うケ-スが増えています。
中小企業診断士
コンサル系唯一の国家資格が中小企業診断士です。
経済学や財務・会計、経営、情報システムなどのあらゆる分野に精通し、中小企業への具体的な経営アドバイスや経営相談を業務としています。
他の士業と違い独占業務が無いので、中小企業診断士だけで独立しているよりも、税理士など他の資格と同時取得して中小企業診断士として業務を行っていることが多いです。
他の士業に経営のアドバイスを求めるよりも、より具体的で専門的なアドバイスを受けることができます。
- 士業を選ぶための3つのポイント
選ぶ際のポイントをお話していきます。
自分が何を必要としているのか
まず初めに、自分が今抱えている問題や、問題解決後にどのようなサ-ビスを求めているのかなど、しっかりと整理しましょう。
違う士業でも業務内容が被る部分があったり、同士業でも事務所によって得意分野や方針は様々です。
例えば、会社設立の相談についてネットで検索すると、税理士、司法書士、行政書士など様々な事務所やサ-ビスがでてきます。
それらのホ-ムペ-ジを何も知らずに一から調べていては、それだけでかなりの時間がかかってしまいます。
より効率的に、そしてより適正な士業の先生と出会うために、自分が何を必要としているのかというのを必ず把握しておきましょう。
コストパフォ-マンス
ブログの最初で「できる経営者」はお金を払ってでも士業を使うと書きました。
しかし、だからといってお金をかければいいというわけではありません。
士業という職業は提供するサ-ビスの種類が多く、ひとえに顧問契約といっても月額の顧問料で受けられるサ-ビスは事務所によってバラバラです。
例えば、税理士事務所に依頼する場合を考えてみましょう。
税理士と社会保険労務士の2つの士業が在籍している税理士事務所であれば、他の事務所よりもサ-ビスの幅は広く顧問料も高額になります。
逆に、記帳と決算代行のサ-ビスのみを行う税理士事務所であれば、顧問料は安くなりますがその他の対応は期待できません。
上記でお話した、自分が必要としているサ-ビスというのを基にして、会社にとってコスパのいい事務所を選択していきましょう。
信頼できる人物かどうか
経営者が士業を雇うというのは、消費者がお店で買い物をするという構図と大きく異なります。
経営者にとって士業というのは、会社を共に成長させるためのパ-トナ-であり半分役員のようなものといっても過言ではありません。
士業に依頼するということは、それと同時に経営者しか知り得ないような会社の重要な部分をさらけ出すということにもなります。
会社にとって、自分にとってパ-トナ-としてふさわしいかどうか、自分の目でしっかりと確かめましょう。
- まとめ
経営者にとっての士業の存在がイメ-ジして頂ければ幸いです。
会社を起業するということは、人生においてとても大きな選択です。
そして、会社というのは経営者の分身といっても他なりません。
士業選びは、その分身を託すことのできる最良のパ-トナ-を見つけられるように心がけていきましょう。