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公園でたまたま1億円拾った時にかかる税金の話

道で100円拾った、なんて経験あると思います。
今日はついてたなと、少しだけ幸せな気持ちになりますよね。

しかし、人間いいことがあると、次はもっといいことに期待する生き物です。
もっと大金を手にできたらと、一度は考えたことがあるのではないでしょうか?

(あー、100万円くらいポンっと落ちてないかなー)

(公園の砂場に1億円埋まってないかなー)

ですが、ここ日本という国では、「儲け」あるところに税金ありです。
仮に拾ったお金でも確定申告によって納税しなければいけません

ということで今回は、公園でたまたま1億円を拾った時の税金についてお話していきたいと思います。




  • 公園でたまたま1億円拾った話
1億円を拾うといえば、1980年に起きた「1億円拾得事件」が有名です。
今回は、それと同じような状況に遭遇した場合に、各選択によってどのような結果になるかということをお話していきます。



第1話|突如として現れた大金!揺れる心と戦う天使と悪魔

Aは毎朝のお散歩が日課の中小企業のサラリーマンです。
その日も、いつもの通り近所を散歩し、休憩がてら途中の公園に入りました。

ベンチに腰かけ、缶コーヒーを飲もうとすっと顔を上げると、目の前の草むらに何かがあるの見つけました。

(ん、なんだあれ?)

缶コーヒーを飲み干し、草むらのそれをよく見てみると、少し土煙を被った真っ黒なボストンバッグでした。

(なんでこんなところに、、誰かが捨てたのかな?)

と、何気なくチャックを開けて中を覗いて、Aは腰を抜かしました。
なんとそこには大金がごっそり!

Aはパニックになり、誰にも見られないように、慌ててそれを家に持ち帰りました。

家に帰って少し冷静になったAは、バッグには一体いくらの現金が入っているのか、中の1万円札の枚数を数えてみることにしました。

1枚1枚、間違いがないよう丁寧に数え、Aはその数に驚愕しました。
バッグに入っていた1万円札の数はなんと1万枚、総額1億円です。

(1億円なんて大金ただ事じゃない、すぐに警察に届けよう!)

と、バッグに手にかけて瞬間、ふと心の中で悪魔が囁きました。

(待てよ、このまま黙っていれば1億円全部自分の物になるんじゃないか。。。?)

続く。

↓↓↓
このような場合に、警察に届けない(いわゆるネコババ)を選択すると、「遺失物横領罪」という罪に問われる可能性があるそうです。

遺失物横領罪とは、遺失物や漂流物その他占有を離れた他人の物を不法に領得する罪のことで、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料に処されます。

仮に、1,000円でも1万円でも犯罪は犯罪です。
必ず警察に届けましょう。



第2話|運命の3ヶ月!訪れるのは絶望か、それとも、、

大金に目が眩んだものの、なんとか警察に落とし物として届けることができました。

心の中の天使と悪魔に1人葛藤したAでしたが、警察にしっかりと届けたことで良心の呵責から解放され、とても晴れやかな気分になりました。

(あぁ、やっぱりいいことをするのは気持ちがいいな)

と、ある種の幸福感に浸っていたAに、警察は思いがけないことを言いました。

警察)
「3ヶ月経っても落とし主が現れなければ、この1億円はAさんの物になりますよ。」


Aは、心の奥底でまた闇がうごめきだしたのを感じました。

詳しく話を聞くと、警察に届けて3ヶ月以内に落とし主が現れなければ、落とし物の所有権が拾った人に移るとのことでした。

A)
「あ、そうなんですね。でも、落とした人は困っているだろうから現れるといいですね。は、はははは。」


Aは必至に笑顔を作り、警察署を後にしました。

(3ヶ月、、あと3ヶ月で1億円が自分の物に!!)

続く。
↓↓↓

2007年に施行された「遺失物法」によると、警察に届けてから3ヶ月以内に落とし主が現れなければ、落とし物の所有権が拾い主に移るそうです。
その場合は、所有権が移ってから2ヶ月以内に警察署に引き取りに行く必要があります。
参考:警察庁ホームページ「遺失物について

また、「遺失物法」によると拾い主は、落とし主が現れてから1ヶ月以内であれば、落とし物の価格の5~20%の範囲でお礼(報労金)を請求する「権利」があるとのことです。



第3話|受け取った感謝の500万と背後から迫る税の魔の手

3ヶ月後を今か今かと待ちわびていたAでしたが、1週間も待たずして早々に落とし主が見つかりました。

(まぁ、人生そんな上手い話ないか、無事に見つかってよかったとしよう。)

お礼の請求はなんだか気が引けていたAでしたが、落とし主のほうから報労金の支払いを快諾しているとの連絡があったので、5%の500万円を請求することにしました。

心の闇に打ち勝って正しい行いをしたこと、人から感謝され500万円という大金まで手にできたこと、Aはとても幸せでした。

(いいことをしてよかった。せっかくの臨時ボーナスだし、パーっと使っちゃおう。)

そう思ったAは、車に家電に時計と欲しいものを一通り買い、残ったお金で会社のみんなに焼肉を奢りました。

まさかのサプライズにみんな大喜びで、A自身にしても、とても気持ちのいい夜となりました。

上司)
「今日は本当にありがとな。でもなんで急にこんなことしてくれたんだ?お金は大丈夫なのか?」

A)
「あ、実は先日こういうことがありまして、、、、」
「思い切って車も買っちゃいました!ほらっ、この時計も。」

上司)
「本当に!?それはすごいな!真面目に働いてるのを神様が見てたのかもな(笑)」
「あれ、、でもそれって、税金かかるんじゃない?」

A)
「え、税金、、、!?」

上司)
「税金。」

A)
「税金。。。」


終わり。
↓↓↓

落とし物を拾ってそのお礼として得た報労金は、一時所得という扱いになります。
つまり、所得税の課税対象ということになります。

今回のように、税金の支払いを考慮せずにお金を使い切ってしまうと、後々になって借金に追われることにもなりかねません。

贅沢をしたい気持ちをグッと抑え、確定申告を終えるまではしっかりとお金を残しておきましょう。




  • 拾ったお金は一時所得
それでは、上記のようなケースに係る税金について解説していきます。


一時所得とは

一時所得とは、給与所得や事業所得など、10種類ある所得税の区分の1つです。
税法上は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得、となっています。

分かりにくいので具体例をみていきましょう。
一時所得の具体例は以下の通りです。

・懸賞や福引きの賞金等
・競馬や競輪の払戻金
・生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除く)や損害保険の満期返戻金
・法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除く)
遺失物取得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

これらに該当するお金が一時所得となります。
金額によっては、会社員の方でも確定申告が必要になる可能性があります。

今回のような報労金はもちろん、落とし主が現れず1億円全額受け取った場合も一時所得になります。



一時所得の税額の計算方法

具体的に税額を計算していく場合、まず、所得の区分ごとに課税所得を計算していきます。
一時所得の計算は以下のようになります。


500万円の報労金を受け取った上記のケースを、この式に当てはめると一時所得は以下のように計算されます。

このように計算した一時所得の金額の1/2が、課税所得として他の所得と合算されます。

さらに、Aの給与所得を600万円、所得控除を合計100万円とした場合、最終的な所得税の金額は以下のようになります。

給与所得600万円に加え、報労金500万円を貰った場合は、所得税額は約103万円。
給与所得600万円だけだった場合、所得税額は約57万円となります。

仮に、同じ条件で1億円丸々手に入れていた場合、税額は2,000万円程になります。




  • ちなみに宝くじで1億円当たったら?
1億円といえば、公園で拾うよりも宝くじで当たるほうが現実的かもしれません。
では、その場合の税金はどうなるのかみていきましょう。



宝くじで1億円当てても非課税

結論からいうと、宝くじの当選金に税金はかかりません。
これは、宝くじ法といわれる「当せん金付証票法」によって、当せん金品には所得税を課さないと定められています。

つまり、宝くじの1億円はそのまま丸々懐に入るということです。
美味しいですね。



宝くじを買う時すでに税金を支払っている

なぜ宝くじは非課税なんだ、と疑問を持つ方もいると思います。
ですが、非課税なのは当せん金についてだけで、宝くじ自体には税金が課せられています。

宝くじには税率40%の地方税が課税されており、宝くじを買う時にすでに税金を支払っているのです。
消費税やタバコ税などと同じ仕組みです。

というように、買う時にすでに税金を支払っているので、1億円が当たっても、納税も確定申告も必要ありません。




  • まとめ
いかがでしょうか?
今回のように大金を拾うことはなかなかありませんが、競馬や懸賞も一時所得になります。

どれも儲けがでれば税金がかかり、会社員でも確定申告が必要になるかもしれません。

幸運にも大金を手にしたときは、冷静にお金の計画を立てるようにしましょう。


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