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自計化のメリット・デメリットと自計化を検討する際の3つのポイント

税理士と顧問契約をする際、記帳代行含め全て依頼するタイプか、日々の会計処理については自社で行うタイプかを選択することになると思います。

当事務所でも、全てお任せいただく「丸投げ」と、お客様側で会計処理を行っていただく「自計化」の2つのタイプがあります。

ほとんどの事務所で、「自計化」にしていただいたほうが顧問料が安くなると思います。
しかし、実は値段以外にも様々なメリットがあるんです。

今回のブログでは、「自計化」によるメリット・デメリットについてお話していきたいと思います。




  • 自計化とは
まず、自計化とは具体的にどのようなものなのか、当事務所での流れをもとにお話していきます。


自計化ってなに?

自計化とは、読んで字の如く「自社で会計処理をする」ということです。
日々の取引について会社で仕訳を行い、その処理が正しく行えているかどうか、税理士がチェックするという流れになります。

ただし自計化というには、この会計処理を会計ソフトを使って行う必要があります。

基本的には、税理士事務所と同じメーカーのソフトによって、自計化を進めていくことが主流です。



仕訳とは?

自計化した場合、日々の取引の仕訳を会計ソフトに入力していきます。

自計化せず丸投げする場合、この仕訳数によって追加の料金を設定している事務所もありますので確認しておきましょう。
「毎月50仕訳までは無料」、「100仕訳以上は~円」といった感じです。

ちなみに仕訳とは、取引を借方・貸方に分け、それぞれに勘定科目を定めて、ふるい分けることをいいます。
簿記で使う単語で、具体的には以下の例のようなことです。

例)11月1日に郵便局で10円切手を100枚を現金で購入した。

これで1仕訳です。
この仕訳を取引の数だけ入力していきます。
仕訳数は、業種や事業規模によって変わるので何ともいえませんが、少なくとも月150~200仕訳くらいにはなると思っておきましょう。

また、仕訳ではなく、記帳や処理という言葉を使う場合もありますが、基本的には同じことだと思ってください。(仕訳作業、会計処理、記帳代行業務など)




  • 自計化のメリット
では、自計化にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
メリットからみていきます。



業績について日々把握することができる

会計ソフトは、仕訳を入力するだけで、自動で帳簿や試算表を作成してくれます。
つまり自計化することによって、現在の業績や財務状態を、リアルタイムで把握することができるようになります。

それによって、資金繰りや経営の意思決定をより迅速に行うことができ、先手先手の経営が可能になります。

毎日仕訳の入力を行うことで、会社の取引に常に触れることになり、財務的な経営視点も養うことができます。



経理のミスが減る

丸投げで記帳代行から税理士に依頼する場合、自計化に比べて様々な「手間」を踏む必要があります。
手間が増えれば、それぞれの段階ごとにミスが起きるリスクがついて回ります。
自計化することで、ミスの少ない、より正確な帳簿書類を作成することができます。

また、取引が発生してすぐに仕訳を入力することで、取引内容の記憶が鮮明な状態でデータに保存することができます。
仮に、使途不明な取引があった場合にも、問題をすぐに発見しやすくなります。



税理士の顧問料が安くなる

自計化をすることによって、ほとんどの税理士事務所で顧問料が安くなります。
当事務所でも自計化していただくと、丸投げしていただく場合より、一律で5,000円安くなります。(初年度と売上700万円未満の場合を除く)

これは税理士にとっても、自計化していただいたほうが、大きなメリットがあるというのが理由です。
事務所側での仕訳入力がなくなることで、業務の効率化が図れ、お客様に対してもより質の高いサービスを提供できるようになります。




  • 自計化のデメリット
メリットがあればデメリットももちろん存在します。


作業負担が増える

仕訳作業を自社で行うということは、それだけ入力に必要な時間や人手を確保しなければいけません。
創業したてや、社長1人の会社の場合、本業の他に経理の時間を確保することはなかなか難しくなります。

また、経理専門で従業員を雇った場合、結果的に税理士に丸投げするより割高になってしまうこともあります。



最低限の簿記の知識は必要

現在の会計ソフトは、誰でも簡単に仕訳を入力することができ、試算表の作成も自動でやってくれます。
しかし、それでもソフトを使うための最低限の簿記の知識は必要になります。

入力に必要な勘定科目など、日常生活では関わることのない言葉がたくさんでてきます。
分からないところや間違えたところは税理士がフォローするので、そこまで深刻に考えることはありませんが、より効率的に使いこなすには少し勉強が必要になります。



設備投資が必要なことも

自計化によって自社で仕訳を行う場合、パソコンと会計ソフトが必要になります。

パソコンがなければ買わなくてはいけませんし、会計ソフトも事務所によっては有償な場合があるので、そのような時は設備投資にお金がかかります。




  • 自計化を検討する際の3つのポイント
メリット、デメリット両方ご理解いただけたところで、自計化を検討する際の具体的なポイントについてお話していきます。


時間と人手に余裕があるかどうか

上記のデメリットでもお話したように、自計化をするということは、その分仕事が増えるということです。
まずは、そのために必要な人員と時間的余裕があるかどうか検討しましょう。

社長の他に従業員がいたり、奥さんがサポートしてくれているなどの場合は、自計化することで得られるメリットのほうが大きいはずです。

逆に、経営者1人で全ての業務をこなしていたり、本業が大変で時間を確保できない場合などは、税理士に丸投げしたほうが効率が上がるでしょう。



顧問契約のコスパをより重視するか

自計化によって税理士の顧問料が安くなります。
また、普段から財務に触れることで、税理士との話し合いも、より質の高いものにすることができます。

お金のことも検討すべき大事なことです。
安くいいサービスを受けられるのであれば、それに越したことはありません。

仮に、経営者1人の場合でも、簿記やパソコンの経験があるのであれば、積極的に自計化を検討してみましょう。



事業規模の拡大を目指すのか

会社や事業を営むうえで、まず目標となるのが「継続」することです。
設立してから5年10年と、会社の経営を続けていくことだけでも間違いなく成功したといえるでしょう。

自計化のメリットである、リアルタイムの財務状態の把握などというのも、「継続」するために重要な要素ですが、優先度はそこまで高くありません。

本業に余裕が出始め、「継続」から「成長」を目指す段階になったときに初めて、自計化のメリットを最大限生かすことができます。

将来的に、どのような事業規模を目指していくのか、それに合わせて自計化も検討していきましょう。




  • まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は自計化についての視点でお話しましたが、自計化も、記帳代行の丸投げも、それぞれにメリットがあります。

業種や事業規模、周りの環境によって、どちらがより適切かというのは変わってきます。
税理士と顧問契約をする際は、しっかりと自分の状況を見定めて、税理士とも相談しながらどちらか決めていきましょう。



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