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税理士が教える、副業で注意したい確定申告の20万円の壁
インタ-ネットの利用が当たり前になった昨今、パソコンやスマホがあればどこでも仕事ができるようになりました。
それに伴い、ネットビジネスを中心に、本業以外の副業・兼業を行う人の数が過去最多となったそうです。
ベンチャ-や中小企業だけでなく、条件付きで副業を認める大企業も出てきており、今年を「副業元年」と呼ぶ声も上がるほどです。
ネット一つでお小遣い感覚でお金を稼げるようになったことで、税金を払わなければいけないという意識が無い人も多いのではないでしょうか?
「いくら稼いだら税金を払うのか?」
「そもそも何が副業なのか?」
今回は税理士に聞きたい副業のアレコレについて書いていきたいと思います。
まず初めに、税法上の所得の区分についてお話させて頂きます。
現在、所得税法では所得を10種類に分類しており、今回はその中から、副業に関連する所得5つをご紹介します。
給与所得
サラリ-マンなどが、勤務先から受け取る給料や賞与のことを給与所得と言います。
副業の観点から見ると、この所得が本業となります。
事業所得
農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サ-ビス業その他の事業から生じる所得を事業所得と言います。
個人事業主の場合は給与所得ではなく、事業所得ということになります。
不動産所得
土地や建物などの不動産、借地権など不動産の上に存在する権利、船舶や航空機の貸付けによる所得を不動産所得と言います。
マンションやアパ-ト、駐車場などを所有している方が該当します。
恐らくこの所得に関しては、サラリ-マンの方でもしっかり確定申告されてる方が多いと思います。
譲渡所得
土地や建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生じる所得を譲渡所得と言います。
少しピンと来ないかもしれませんが、株の売買で得た利益もこの譲渡所得に該当します。
雑所得
他の所得に該当しないものを雑所得と言います。
フリ-マ-ケットやアフィリエイト、ネットオ-クションで得た収入、最近流行の仮想通貨で生じた所得もこの雑所得に該当します。
インタ-ネットでの副業としてイメ-ジしやすいもののほとんどは雑所得となります。
では、副業によっていくら稼いだら確定申告する必要があるのでしょうか?
実際に確定申告が必要なのに、知らなかったなんてこともあるかと思います。
確定申告が必要なケ-スについてお話します。
20万円を超えたら確定申告が必要?
サラリ-マンのような、給与所得がある方で確定申告の必要があるのは次の3つのケ-スです。
① 年収2,000万円を超える方
副業をしていないサラリ-マンの方でも、給与の年間収入金額が2,000万円を超える方は個人での確定申告が必要です。
本来、サラリ-マンの所得税は会社が払っています。
毎月給与から源泉徴収として引かれ、年末調整で年間の所得を調整して、従業員一人一人の分を会社が申告しています。
しかし、給与が2,000万円を超える従業員については、会社で年末調整を行うことができなくなるため、個人での確定申告が必要になります。
今後の出世次第では、、、なんて方は頭に入れておくといいと思います。
② 会社の給料以外に年間20万円を超える所得がある方
給与を一か所から受けていて、かつ、その給与が源泉徴収の対象となる場合、その他所得の合計が20万円を超える方。
これが副業での確定申告に該当します。
アパ-トの家賃収入の不動産所得であったり、メルカリなどで儲かった雑所得であったりを、全て合計した所得が20万円を超えると確定申告が必要です。
合計というのは、1月1日~12月31日まで1年間の合計額です。
副業という意識が無く、たまたまその年、ネットオ-クションで20万円分利益が出てしまった。
なんてこともあるので注意しましょう。
③ 二か所以上の会社やお店から給料をもらっている方
給与を二か所以上から受けていて、年末調整をされなかった給与の収入と、その他各種の所得金額の合計額が20万円を超える方。
上の②と違うのは、給与を二か所以上から受けているということです。
会社に勤めながら兼業をしていたり、アルバイトを掛け持ちしているフリ-タ-の方などはこれに該当します。
勤務先それぞれの源泉徴収票を合わせて、所得として確定申告します。
以上の3つに該当する方がサラリ-マンが確定申告をしなければいけない時です。
所得の計算方法
副業の所得合計が20万円を超えるとはどういうことでしょうか?
アフィリエイトの収入が1年間で25万円でたから、所得は25万円。
実はこうではありません。
この場合の所得とは利益のことで
利益の計算方法は
「 利益 = 収入-経費 」
となります。
つまり、
アフィリエイトでの収入が年間25万円、でもその収入を得るための経費が10万円かかった。
この場合の利益は15万円となるので、確定申告の必要はありません。
課税対象となる所得はこの利益の金額なので、経費を計上していなかった場合、その分多く税金を払うことになってしまうので注意しましょう。
どこまで経費になるの?
では、どこまでを経費として計上できるのでしょうか?
副業や個人事業でよく出てくる経費の種類と具体例をご紹介します。
① 地代家賃
家賃。
自宅で行っている場合、全体から仕事用として使用している部分を経費に出来ます。
3割が仕事部屋、7割が居住空間であれば家賃の3割が該当します。
② 水道光熱費
電気、ガス、水道代。
これも①の家賃と同じで仕事時に使用した分と按分して経費に計上します。
③ 通信費
ネット回線代、電話代、切手代、ハガキ代等。
ネットや携帯を利用した副業の場合、その使用料はほとんどこの通信費に該当します。
④ 旅費交通費
仕事のために利用した交通費、出張時の宿泊費等。
取引先に向かうためのタクシ-代や電車賃が該当します。
⑤ 運賃
商品の物流や梱包にかかる費用。
商品発送の際の宅急便代等がこれに該当します。
⑥ 交際費
営業上必要な接待や交際の費用。
セミナ-等の懇親会の費用や、お客様との飲食代、お歳暮代等が該当します。
⑦ 減価償却費
10万円以上で取得した資産を耐用年数に応じて減価償却し費用に計上します。
10万円以上のパソコンやソフトウェア、設備機械等がこれに該当します。
また、10万円以上30万円未満の資産については、いっぺんに償却計算することができます。
パソコン等買う際はこの10万円と、30万円というのを意識しておきましょう。
⑧ 消耗品費
仕事で使用する消耗品、10万円未満のパソコン、デスク等の資産。
仕事で使うイスや棚等の家具はこれに該当します。
⑨ 修繕費
建物や車等の固定資産の現状維持、修復のためにかかる費用。
パソコンの修理代等はこれに該当します。
⑩ 事務用品費
事務用品を購入した際の費用。
文房具、コピ-用紙、ファイル等の事務用品が該当します。
⑧の消耗品費としても計上できます。
⑪ 新聞図書費
仕事のために購入した書籍代等。
⑫ 外注費
仕事を外注した際の費用。
イラストやデザインの依頼にかかったお金はこれに該当します。
⑬ 雑費
どの科目にも当てはまらない費用、少額であまり重要でない費用は全て雑費として計上します。
古くなったイスを捨てる際の粗大ごみ手数料等。
以上、ざっくりと経費についてご紹介しました。
基本的な考え方としては、仕事のために使ったお金は経費になる。
私用と区別がつかないお金は経費にならない。
とお考えください。
上でお話しした通り、副業で所得が20万円を超えていたら毎年3月15日までに確定申告をしなければいけません。
皆さん、どうですか?
「え、全然知らなかったんだけど、、、」
「実は知ってたけど面倒でしてません。」
なんて方、いないでしょうか?
次は確定申告をしてなかった場合、余分に払わなければいけない税金ついてお話します。
無申告加算税
まず、一つ目のペナルティが無申告加算税です。
確定申告をしなかったり、忘れていた場合に期限より後で申告した時に発生する税金です。
本来払うべき税金にプラスして払わなければいけません。
無申告加算税の税額は、納付すべき金額に、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算されます。
つまり、
「元々の税金が40万円の場合、無申告加算税は 40×15% = 6万円」
「元々の税金が80万円の場合、無申告加算税は 50×15% + 30×20% = 13万5千円」
となります。
ただ、期限後申告になったとしても、以下の全てを満たしていれば、無申告加算税は適用されません。
Ⅰ.その期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること。
Ⅱ.期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。
(ただし、一定の場合とは次の2つにいずれも該当する場合である。)
ⅰ.その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付していること。
ⅱ.その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けてないこと。
つまり諸事情でギリギリ間に合わなくて、その後すぐに申告と同時に納付した場合等については、無申告加算税はかかりません。ということです。
普通に忘れてしまっていた時は払わなければいけません。
延滞税
もう一つペナルティがあります。
税金が定められた期限までに納付されてない場合、その日数に応じて本税を対象にかかる税金を延滞税と言います。
延滞税がかかる場合は以下の3つのケ-スです。
① 申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しない時
確定申告の申告書は出したけど、実際に税金を払うのが遅れてしまった場合です。
② 期限後申告書又は修正申告書を提出した場合で納付しなければならない税額があるとき
これが今回の無申告の時に該当します。
期限後申告は確定申告をしていなかった時に、自ら過去の分を申告することを言います。
修正申告というのは確定申告をした後に、自分で間違いを修正して改めて申告することを言います。
③ 更正又は決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額があるとき
更正というのは、税務署の調査によって申告の間違いがあった場合に修正されることを言います。
決定とは、税務署が無申告者に対して、税金の支払いを命じることを言います。
②と違うのは、自分で言うか、税務署に言われるかの違いです。
延滞税の具体的な税額は非常に細かいので、ここでは書きませんが、気になる方は国税庁のホ-ムペ-ジをご覧ください。
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/osirase/9205.htm
申告し忘れていた時は必ず自分から!
もし、無申告があった場合は必ず自分から申告しましょう。
「どうせ忘れちゃったんだから、言われるまで黙っておこう」
ではいけません!
なぜなら、自分から申告したほうがペナルティが軽くなります。
期限後申告による無申告加算税の税額が安くなるんです。
では、無申告加算税の税率の違いを3つのケ-スでご説明します。
① 税務署から調査された結果、払うように指導された場合
この場合は一番税金が高く、先ほどお話した通りの税率で
「納付金額の50万円までは15%、50万円を超える部分には20%の割合で課税」
となります。
② 税務署から調査の通知が来て、慌てて自分で申告した場合(平成28年分以後)
今年が平成30年なので去年と一昨年の分について適用されます。
①より少し税率が下がり
「納付金額の50万円までは10%,50万円を超える部分には15%の割合で課税」
となります。
③ 税務署の調査が来る前に自ら進んで申告した場合
自己申告した場合はかなり税率が軽減され
「納付金額がいくらであろうと5%の割合で課税」
となります。
つまり
元々の税金が80万円の時、①では無申告加算税「13万5千円」払うのに対して、自ら申告すれば無申告加算税が「4万円」で済んでしまうのです。
払っていなかった分の税金とペナルティを一気に払うので、負担はとても大きくなります。
見つかるまで黙っていては、無申告加算税の税額が重くなり、延滞税も期間が延びるほど金額が増えていくので、一日でも早く申告するようにしましょう。
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副業が本業より儲かってしまった時にやったほうがいいこと
最初はお小遣い程度にやっていた副業が、いつのまにか副業だけで生活できるほど稼げるようになってしまった時。
また、今後副業で食べていきたいと考えている方がやったほうがいいことについてお話します。
雑所得から事業所得へ
例えば、インタ-ネットでのアフィリエイトの収入は雑所得として基本的には計算します。
しかしこの雑所得の場合、副業に力を入れれば入れるほど勿体無いことが起こってしまいます。
それは、雑所得は損益通算できないということです。
損益通算とは、所得の黒字と所得の赤字を相殺する計算のことです。
相殺することによって何がいいかというと、所得の合計額を低くすることができます。
つまり、その分払う税金を安くすることができ節税になります。
今まで雑所得として申告していたのを、事業所得として申告することができれば副業をする上で大きなメリットになります。
事業所得の3つのメリット
実際に事業所得にすることで、得られるメリットを3つご紹介します。
① 損益通算できる
上でも述べた通り、事業所得にすると損益通算をすることができます。
損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のものについてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額等を計算する際に他の各種所得金額から控除することをいいます。
損益通算できる所得は、事業所得、不動産所得、山林所得、総合課税の譲渡所得の4つです。
副業が雑所得の時
給与所得 500万円
雑所得 -50万円
課税対象の所得金額 500万円
副業が事業所得の時
給与所得 500万円
事業所得 -50万円
課税対象の所得金額 450万円
となります。
② 65万円の青色申告特別控除
事業所得は青色申告の申請をすることで青色申告制度を行うことができます。
青色申告制度とは、納税者が自ら税法に従って所得金額と税額を正しく計算し納税するという申告制度のことです。
青色申告にはいくつか特典があり、その中の一つが青色申告特別控除です。
控除額は2つあり
青色申告の申請手続きをしただけの場合、所得控除は最高10万円。
(事業所得、不動産所得、山林所得)
複式簿記での記帳に基づき作成した、貸借対象表と損益計算書を確定申告書に添付して提出した場合、所得控除は最高65万円。
(事業所得、10部屋又は5棟以上の事業規模がある不動産所得)
となっています。
特別控除65万円の時
給与所得 500万円
事業所得 100万円
所得控除 65万円
課税対象の所得金額 535万円
となります。
③ 赤字の繰越と繰戻し
これも、青色申告によって得られる特典の一つです。
事業所得等に純損失が生じた場合、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額控除できます。
また、前年も青色申告をしている場合は、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受け取ることができます。
純損失というのは、今回の副業の話でいうと、損益通算等した後に出た損失のことです。
つまり
給与所得 500万円
事業所得 -600万円
所得金額 -100万円
純損失が100万円生じたことになります。
こういう場合に、損失の繰越と繰戻しを行うことができます。
個人事業として開業
では、雑所得として申告していた副業を、事業所得として申告するためにはどうすればいいのでしょうか?
実のところ、事業所得にするための届け出が必要だったり、明確な規定があるわけでは無いんです。
事業所得として申告が通ればそれは事業所得なんです。
しかし、事業所得か雑所得なのか区別するのは税務署です。
事業所得として確定申告をしても、税務署から雑所得として修正するように指導を受けてしまうケ-スも多いのです。
副業を事業所得とするかについて、判断の目安というものが国税庁より発表されています。
まとめると以下の通りです。
・一定規模の収入が継続して得られること
・利益を得る可能性が十分にあること
・副業のために相当数の時間を日々割いていること
・副業を行うための人的、物的設備があること
・副業での収入が生活に影響を及ぼしていること
・職業として認知されていること
これらを総合的に判断して、事業所得か雑所得か評価しているようです。
つまり、副業の収入が本業の収入に取って代わるほど利益を上げている場合、十分に事業として認められる可能性があるということです。
さらに、副業を本格的な事業として行いたい場合に、やっておきたいことが、開業届と青色申告承認申請書の提出です。
開業届とは新たに事業を開始するとき等に税務署に提出する書類です。
青色申告承認申請書とは、上記で説明した青色申告を行うための手続き書類です。
この2つを税務署に提出することで、しっかりとした事業と認められる可能性が高くなります。
副業での利益が大きくなった場合、しっかりと税金対策を行うためにも事業として開業することをお勧めします。
いかがだったでしょうか?
副業をされている方も、今後副業をお考えの方も確定申告の必要性についてはぜひ頭に入れておいてください。
また、副業は本業の就業規則をしっかりと守ったうえで行うようにしましょう。
実際に確定申告をする際の疑問や、副業から個人事業として本業にしようとお考えの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。
参考:国税庁ホ-ムペ-ジ
http://www.nta.go.jp/
カテゴリ:
2018年4月 9日 14:17
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